みなさんこんにちは。前回のコラムから日にちがたち、エボXも少しずつ進化しています。現時点で東京ラリー、APRCラリー北海道とすでに終わり、APRCでのエボXの初ポディウムをなんとかGETできました。
ここに至るまでには数々のトラブル勉強を経て、やっと参戦できたという感じです。シェイクダウン後のテストでは、エボマガの松井号に柳澤選手が乗ったほうが速かったりいろいろありましたが、なんとか走れるように。これも、みんなの協力のおかげだと感謝しています。エボは素人同然だったボクたちに、いろいろアドバスをして下さった方々、本当にありがとうございます。
この数カ月で、けっこうエボのことがわかってきました。エボXからCAN通信になり、すべてECUで管理されていて、今までのようにはすんなりいかないこと。エンジンECUをモーテックに替えているためACDが使えず、モーテックのMDCを使いセンターデフを制御すること。せっかくのACDが使えないなんて、もったいなくて、なんとかつかえないか?と考えましたが、やっぱり使えませんでした。アンチラグの設定もかなり違い、ドライバーのフィーリングに合わせるのも大変。
でも、圧倒的な低回転域からのトルクが格段に違い、エンジン的には今後さらに期待が持てる感じです。
何が違うかというと……、ターボのN車両では、吸気制限装置が付いています。いわゆるリストリクターです。今年は32φを使っていて、このサイズはインプレッサも同じですが、吸入している空気の量が明らかに多いのです。
多いということはそれだけパワーが出せるということで、効率よくエンジンに空気が入っているということ。非常にいい傾向です!
全日本ラリー選手権の東京ラリーに出場しましたが、予想以上に苦戦。テストを数回こなしたものの、東京ラリーでは林道のアップダウンがきつく、テスト時コースにはアップダウンが少なく、センターデフセットが全然合わなくてタイムが伸びませんでした。
今までのテストでは、クルマの大きさは気になるが車重は感じない、とコメントしていたドライバーたちですが、やはり勾配のある下り坂の林道では慣性があり、ドライビングが難しかったようです。結果、柳澤選手はリタイア。炭山選手が完走と、十分な結果は出せませんでしたが、かなりの収穫がありました。このラリーをベースに改修ポイントを決め、APRCのラリー北海道まで3週間改修を行いました。
ここで掲載している内容は、エボマガ紙面から一部内容を抜粋して掲載しています。「もっと読みたい!」というひとは、ぜひ本誌もチェックしてね! »
長瀬 努
Nagase Tsutomu
クスコワールドラリーチーム監督
昭和36年7月26日生まれのO型。群馬県出身。1989年キャロッセに入社し、メカニック・営業・開発工場工場長を経て現在代表取締役社長。ドライバーとしては、全日本ジムカーナC1クラスの90年92年99年で全日本チャンピオンを獲得。好きな食べ物は高カロリーな食品で、嫌いな食べ物はヘルシーな食品とわかりやすい。