はじめてオーリンズの車高調キットが装着されたエボに乗ったのは、今から約5年前のエボⅦ。ブレーキ系の企画でクルマが必要になり、某ショップのデモカーを借りたのがきっかけだった。
そのエボⅦはブーストアップ仕様だったが、ラリーカー並のロールケージが組まれており、ボディ剛性はかなり高くなっていた。おまけに装着されているタイヤは255サイズのSタイヤ。クルマに乗り込むとき、「これで箱根まで取材に行くのは、かなりつらいかも?」と想像していた。ところが……、その考えは乗ってすぐに間違いだと気がついた!
通常、ロールケージやハイグリップタイヤを装着したクルマは、ボディやタイヤがカッチリしているため逃げが発生しない。つまりサスペンションにかかる負担が多くなり、よほどしっかりとした車高調じゃないと、街なかを快適に走ることは難しい。
だがこのエボⅦは段差から伝わってくる衝撃を一発で吸収し、まったく不安感がない。首都高など、コーナーの途中に段差がある路面を走ってもつねに4輪がしっかり接地、ステアリングをきっただけ旋回してくれる。「しなやかな足」という車高調を、初めて体で体感した瞬間だった。
数日後、借りていたデモカーをショップに返却し、ちょっと車高調について聞いてみたところ、さらにビックリする言葉が帰ってきた。「このオーリンズの足、吊るしだよ」とのこと。
クルマを運転している最中、ここまでしなやかな足に仕上げるには、何度も減衰の仕様を変更し、車高やバネレート変更を繰り返した足だろう、と想像していた。だが実際には、市販されているオーリンズ製のダンパーをただ装着しただけだった。なぜこんなフィーリングになるんだろう?と考え込んでしまった。