本来であればエコとか減税とか低燃費とかまったく興味のないボクなのだが、三菱ネタとあれば話は別。ある日、日課である三菱自動車ホームページのチェックをしているとこんなリリースが。
「1月31日から2月6日まで、三菱自動車本社ショールームにてアイ・ミーブまつり開催」とある。
期間中はi-MiEVはもちろん、2007年の東京モーターショーでお披露目されていたコンセプトスポーツEVの「i-MiEV SPORT(アイ・ミーブスポーツ)」をはじめ、プジョー・シトロエンにOEM供給している欧州仕様など普段めったにお目にかかれないi-MiEVたちが展示されるという。さらに、2月5日はi-MiEVオーナーや開発者のトークショーがあるというのだから行かない手はない!
というわけで2月5日のトークショーをのぞいてきたので、その様子をレポートしよう!
はじめに登場したのが、あの大ヒット車種「eKワゴン」の生みの親で有名な三菱自動車/相川哲郎 商品戦略・開発統括部常務取締役だ。
先日i-MiEVを購入したそうだが、それまでエボXに乗っていたという生粋のクルマ好き。こういう方が自動車会社の役員にいるというのがすばらしいことですなあ。
印象的だったのが、「いろいろ説明するのもいいですが、まずは試乗してほしいと思います。百聞は一乗にしかずです」とのことだった。
続いて、三菱自動車/吉田裕明 開発本部MiEV技術部長。
一時話題を集めたインホイールモーター駆動の「ランエボMiEV」の開発者だ。インホイールモーターについて「あきらめないで開発していく」と明言してくれた。
また、「EVは走行時はCO2を出さなくても、発電所からCO2が出るから結局エコではないじゃないかという話を聞きますが、日本の発電所から排出される年間のCO2はガソリン自動車の30%程度です。海外では、フランス、ブラジルなどは発電のほとんどを原子力または水力によるものなので発電によるCO2もほぼゼロなのです」とEVこそ本当のゼロ・エミッションということを強調していた。
モータージャーナリストの、フジトモこと藤島知子氏も登場。
「エンジン、トランスミッションの振動の影響がないので快適。ガソリンスタンドへ行く手間が省ける。スマートフォンを通じて、リモートコントロール、ロガーができる可能性を持っている。エアコンの設定温度を少し上げれば航続距離が伸びることでエコ意識が高まる」と、EVの利点について分析していた。
オーナー1。「一度乗るとガソリン車には戻れない感じです。以前からEVには大変興味があり、インド製のEVに乗ったことがあったがあまりにもちゃっちくて、その後i-MiEVに乗ったら完成度の高さに驚きました」
オーナー2。「自宅に駐車しておくと、近所の小学生たちが見にくるのですよ。どうやらEVと分かっていて見にくるようなんです。学校で教わっているのかなと。そういった意味でも注目度は高いですね。ただ、インフラの不安から高速道路は使用していない」
オーナー3。「岡崎工場でi-MiEVにひと目惚れしました。すぐに購入し、毎日通勤で使用しています。ほぼファーストカーとなっています」
Q.充電中はどう過ごしていますか?
A.(オーナー)
24時間営業のガソリンスタンドに急速充電器が併設されているところが増えてきました。
急速充電は約30分といわれていますが、実際はいつも15分~20分くらいで完了します。そのあいだは、サービスルームでコーヒーを飲んだり、ブログを更新したりしています。
Q.充電インフラについては現在どのような状況ですか?
A.(三菱自動車/MiEV事業推進室 谷田部隆之氏)
急速充電器の設置箇所は現在全国に500カ所ほどあります。主に三菱ディーラー、日産ディーラー、ガソリンスタンド、大型ショッピングモールなどです。ガソリンスタンドは24時間営業のところもあって大変便利だと思います。
現在、三菱ディーラーを含め多くがが無料で利用できますが、一部では有料となっています。いずれ多くが有料になると思われますが、そうなるとショッピングモールなどで買い物をすれば充電が無料になるなどの付加価値もできるかもしれませんね。
Q.家庭で充電するにはどのようなことが必要ですか?
A.(オーナー)
100V電源でも充電できるとありますが、200Vへの変換がお薦めです。一戸建てを前提とした話ですが、200V変換工事代金、コンセントなどの器機代金、深夜電力割引きを有効にするための契約の変更手続きが必要です。
また、深夜電力を活用するために分電盤の充電回路にタイマーを設置すれば、ケーブルをi-MiEVに接続したままでも、深夜料金の時間帯だけ通電するようになって便利です。
Q. i-MiEVの一番の魅力はなんですか?
A.(オーナー)
それは「走り」ですね。もちろんエコ意識は高まりますが、一番は走りのよさで購入しました。
(三菱自動車/開発本部MiEV技術部長 吉田裕明氏)
スポーツEVについては必ずやりますよ。
ということで、以上がイベントの内容だ。文章にしてしまえばあっさり進行しているように思えるが、実際はひとつの質問に対してオーナーのみなさんがマイクを取っ替え引っ替えしてなかなか盛り上がり聞いているだけでも楽しかった。最後は予定時間を超過しても話が止まらず、進行の方が半ば強制的に終了していたほど(笑)。
発展途上のEV市場ではあるが、こうして積極的にメーカーがEVを広げようと努力している。もちろんボクらの第一希望はランエボのさらなる進化(と、WRC復活)だけど、EVという世界に先駆けた、いわば「大きな賭け」に挑み続ける三菱自動車の成功を祈りたいと思う。がんばれ、三菱!!(ランエボとラリーアートの方もよろしくね)。
土屋光司
Tsuchiya Koji
ランエボマガジン編集部員
昭和60年5月29日生まれのO型。福島県出身。地元の工業高校を卒業後、愛知県岡崎市にあった三菱自動車整備専門学校へ入学。2級整備士の資格を取得後上京し、三菱ふそうのディーラーへメカニックとして入社。営業職も経験し、2010年6月にランエボマガジン編集部へ。小学生の頃ハマっていたミニ四駆の大会でもらった景品が偶然エボⅢのプラモデルで、一番最初に覚えた車種。それから徐々にエボ&三菱好きに。三菱整備学校へ進学を決める時はリコール問題まっただ中で、高校の校長先生から「こんな時に三菱に行きたいとは、何を考えているんだ!」と怒られて、悔しくて悔しくてしょうがなかったことが忘れられない。現在はとにかく仕事の上達を目指し、あこがれのエボを手に入れるために奮闘中だ。